PVA繊維〈クラロン®〉 セメント補強用
かつてセメント建材の補強にはアスベスト(石綿)が広く使用されていましたが、その全面禁止に伴い、安全かつ高機能な代替補強材として〈クラロン®〉が採用されてきました。
セメントとの強固な接着性と優れた耐アルカリ性を活かし、高強度・高靭性・長期耐久性を付与できます。ノンアスベスト建材のキーマテリアルとしての長年のグローバル実績に加え、現在も次世代の軽量・環境配慮型建材や新たな用途開発において、進化を続けています。
特長|なぜ〈クラロン®〉がセメント建材に効くのか
セメントマトリクスを効果的に補強するためには、繊維が引き抜けないように「しっかりつかむ」こと、そして「均一に混ざること」が重要です。
●強固な化学的接着(親和性)
〈クラロン®〉がセメントと強固に接着する理由は、分子構造上のOH基(水酸基)がセメント中の水分や水和物と強力な水素結合を形成しているためと考えられています。物理的なアンカー効果だけでなく、この化学的な結合力により、建材の曲げ性能や靭性を飛躍的に高めます。
●製造工程を支える独自の「高分散性」
建材の品質を安定させるためには、スラリー(泥状のセメント)中で繊維がダマにならず均一に分散することが不可欠です。当社が長年培ってきた独自の技術とノウハウにより、〈クラロン®〉は水やセメント中での極めて高い分散性を実現。歩留まりの向上と均一な品質の建材製造に貢献します。
●過酷な環境をタフに乗り切る「耐アルカリ性」と「耐寒性」
強アルカリ性であるセメント環境下においても繊維が劣化しにくく、初期の補強性能を長期にわたって維持します。さらに、-30℃の極低温環境下でも繊維単体の強度低下が見られないことが実証されており、凍結が懸念される寒冷地での使用においても安定した補強性能を発揮します。
使用効果|得られる具体的な価値
曲げ強度・靭性の向上(粘り強さ)
ひび割れ発生後も繊維が応力を保持し、急激な破壊を防ぎます。破断に至るまでのエネルギー吸収量(靭性)の向上に寄与します。
ひび割れ抑制と凍害対策(割れにくさ)
繊維が微細なクラック(ひび割れ)を架橋し、発生や進展を抑制。建材の外観維持と内部への水分浸透を防ぎます。
極低温に耐えうる繊維特性により、寒冷地特有の「凍害(内部水分の凍結融解による割れ)」に対する抵抗性も向上し、厳しい気候条件下でも建材の長寿命化に貢献します。
耐衝撃性・欠けにくさ
衝撃荷重に対する抵抗性が向上。製造工場からの輸送時や、現場での施工時、供用時における「欠け」「割れ」によるロスを低減し、
実用上の大きな安心感をもたらします。
代表用途|国内外での幅広い採用例
- 屋根材・外装材(波板、スレート、強化セメント瓦等)
- ボード類(フレキシブルボード、ファサード等)
- 建築部材(カーテンウォール、床用パネル、二次製品等)
- 内外装仕上材・モルタル補強
軽量・低炭素・環境配慮|サステナブルな建材設計への貢献
〈クラロン®〉は高い補強効果を持つため、建材の「薄肉化・軽量化」や「セメント使用量の削減」を可能にし、製造・輸送プロセスにおけるCO2排出量削減の選択肢を広げます。 また、高炉水砕スラグ微粉末(GBFS)やフライアッシュ、炭酸カルシウムなどの環境配慮型「置換材」を活用した配合においても、〈クラロン®〉を併用することで、要求される曲げ性能や靭性を確保しやすいことが確認されています。
共同研究・グローバルネットワーク|次々と生まれる新たな用途
当社は、世界中のセメント建材メーカー様への豊富な販売実績と強固なネットワークを有しています。これを基盤とし、現在も国内外の大手企業様との共同開発を積極的に推進しています。 押出成形セメント板をはじめとする既存建材の性能向上・環境対応はもちろん、セメント・建材補強繊維の全く新しい用途の開拓において、実機テストや材料・工程の最適化など、事業化・実装に直結する大型プロジェクトを次々と形にしています。
安全性と技術サポート
- 安全性について:公的評価や社内データに基づき、詳細なご説明が可能です。ご使用の際は安全データシート(SDS)をご参照いただき、二次加工(切断・研磨)時の粉じん管理をお願いいたします。
- 技術サポート:単なる材料提供にとどまらず、お客様の用途・製法・目標性能に合わせた最適な繊維設計から、配合設計の方向性検討まで、技術部門と連携して強力に伴走いたします。